『モンスター株の売買戦術』(ジョン・ボイク)を読んで

2025-12-11

ジョン・ボイクの『モンスター株の売買戦術』(原題:MONSTER STOCK LESSONS)を読みました。

この本を一言で言うと、「成長株投資を正しい時期に正しい方法で行うとどうなるか」を示したパンフレットのような一冊、というのが相応しかったと思います。

紹介されている時期は2020年~2021年の急成長銘柄で、僕がトレードを始めた時期とまさに重なっており、実際この本で紹介されていた株の2~3割は自分でもリアルタイムで買った銘柄でした。

以上を踏まえて、この本の感想をつらつらと書いてみようと思います。

著者:ジョン・ボイクについて

ジョン・ボイクは作家・金融アナリスト・会計士・元株式ブローカーといった経歴を持っています。

僕は、こういう本を読むときは本人がゴリゴリのトレーダーかどうかは気にする方なのですが、どうやら作家よりの人物っぽいですね。

以前に彼の書いた『黄金の掟ー破産回避術』という本を読んだことがあります。これは彼自身の話ではなく、ジェシー・リバモアやニコラス・ダーバス、ウィリアム・オニールといったレジェンドトレーダーから学ぶ本、といった内容でした。

今回の『モンスター株の売買戦術』は彼自身の実際のトレードに基づいているような書き方でしたが(ボイクの当時のウォッチリストが載っている)、エントリーポイントやイグジットポイント、つまりどこで買ってどこで売ったかなどの詳細はほぼ書いてありませんでした。

ですので、最初に書いたようにパンフレットやカタログとしての役割が強い本であり、これはボイク自身の立ち位置、つまり現役ゴリゴリのトレーダーというよりは、作家・アナリストとしての立場で書いているのが出ているのかなと思います。(これ自体が良い悪いというわけではないです)

『モンスター株の売買戦術』の内容

はじめに

ここでは成長株投資に関連するキーワードや指標が解説されています。

とくにハイ・ロー・ゲージ(「H/L/G」=52週新高値数と52週新安値数の差)に関しては、多くの成長株投資の有力トレーダーが参考にしている指標であり、僕自身も毎日チェックしています。

第1章 2020年

コロナショックで市場全体が大きく下がり、そこから爆発的に回復していった中での急成長銘柄が数多くチャート付きで解説されています。

先程も書いたように、エントリーポイントなど具体的なトレードの解説ではありませんが、成長株投資に適した時期は株はこんな動きをするのだな、というのが視覚的に分かるかと思います。

有名なところだと、ZOOMやDataDog、Shopify、Paypalなどほとんどの銘柄が調整を経た4~5月ごろから、年末にかけて爆発的な伸びを見せていました。

第2章 2021年

2021年も3月の中旬くらいまでは成長株投資が絶好調に機能する時期でした。

僕はこのころデイトレードをやっていて、とくに1月は引き分け3つを挟んで15連勝、月全体で67%の高勝率を出すことができました。

それが3月中旬を超えたところから明らかにブレイクアウトの「質」が変わり、機能する銘柄が限定的になりました。

実際この本でも、「2021年の大半は短期的なスイングトレードに適した環境になり、年が進むにつれて素早く動くほうが報われるようになった」と書かれています。

第3章 得られた教訓

2020年・2021年のトレードから著者が得た教訓が書かれています。

  • 教訓1:2020年の春先に広がりだしたようなネガティブなシグナルのすべてに注意を払うこと
  • 教訓2:下落相場が終わりそうだという明確なシグナルが点灯するまで待つこと
  • 教訓3:チャート研究やウォッチリストの検討を通じ、新たな上昇トレンドに備えること
  • 教訓4:大きな調整や弱気相場がどれほど続こうと、その後に好転したときが最も良い投資機会になること
  • 教訓5:状況が整ったら、リスク戦略を計画通り実行し、精神面をコントロールし続けること

どれも非常に重要だと思いますが、僕はちょうどこの本の該当期間になっている2020年の4月からトレードを始めたので、とくに身につまされたのは「教訓4」でした。

つまり、絶好の投資機会は、弱気相場の後で訪れるということです。

結論から言うと、右も左もわからなかった僕はこの10年に1度とも言えるラッキータイムの大半を逃してしまったのですが、自戒の意味も込めて、この本の一番大切だと思った部分を以下で書きます。

成長株投資で最も大切なこと

僕は6年ほど、マーク・ミネルヴィニの年間6,000ドルの有料サービスに入って成長株投資を実践してきました。

正直、人に誇れるような実績は持っていないのですが、僕自身の6年間毎日トレードの記録・経験と、マークの過去15年に及ぶ5,000以上のトレードを分析した結果、さすがにひとつ、真実」と言っていいのではないかな、と思っていることがあります。

それは、

「成長株投資は、タイミングがすべてである」

ということです。

これは大げさでもなんでもなく、たとえば有名トレーダーであるデイビッド・ライアンは成長株投資法を実践してすぐの1982年8月から1983年6月の間に資産を約2.6倍にしましたが、その後1年で60%ほどのドローダウンを食らっています。

その間、何か方法を変えたのか?というとNoで、違ったのはタイミングだけだったのです。

この本の中でも、ウィリアム・オニールの本の引用で

本当に大儲けできるのは通常の新しい強気相場サイクルの最初の1年か2年だ。この時期にこそ、必ず絶好の機会を認識してそれを十分に利用しなければならない。

と述べられています。

また、紹介されている銘柄が2020年・2021年だけで、なぜ「2019年」の銘柄はないのか、というのも疑問を持つべきポイントです。

答えは簡単で、2019年は成長株投資のトレーダーにとっては非常に難しい時期だったからです。これは、ミネルヴィニの過去のトレードを分析したり、USIC(全米投資選手権)の株式トレーダー部門のスコアを見ると傾向がわかります。

たとえばこの本にも載っている2020年のUSICの1位はオリバー・ケールで+900%超を記録しています。

一方、2019年の一位レイフ・ソレイデは60.9%でした。

オリバー・ケール、レイフ・ソレイデ共に自分の手法をYoutubeや自身の本・サービスで公開しており、成長株投資を行っていることがわかっています。特にレイフはミネルヴィニが年に1回行っているマスター・トレーダー・ワークショップのゲスト講師を務めたこともあります。

どちらも単年の結果としてはすごいのですが、年によってずいぶん結果に差があるようにも見えます。これは、トレーダーの腕だけでは説明がつかないところがあり、単純にタイミング、つまり「成長株投資にとって良い年だったか否か」が大きく関係しているのです。

(ちなみに、2019~2024年までのマークのサービスやセミナーに参加したことのあるUSICの成績上位者は以下のポストにまとまっています。もちろん、「参加したことがある」だけなので、成長株投資をやっているのか、はたまたどういう手法でやっているのかは不明な人も多いです。)

長くなりましたが、要するに何よりも大事なのはタイミングだ、ということが言いたかったのでした。

まとめ

市場は、ほとんどの期間において明確なトレンドはなく「ちゃぶつき相場」が多くを占めます。

その中で、コロナショックからの市場回復期である2020年・2021年に焦点を当てた本書は、まさに絶好のタイミングで成長株投資を適切に行うことができた場合の破壊力を示したパンフレットのようなものだと思います。

正しいタイミングだとこうなる、というのを知った上で成長株投資を実践してみると、気付くものも多くなるかもしれません。

-成長株投資法, 読書